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短編小説、最近勉強三昧で頭疲れてるんですよね。
ですので、気分転換に思いつきで書きまくってます!

ということで、どうぞ!

荒地の真ん中で、少女が佇んでいた。

なんとも言えない、不満な顔。

足元には、動かぬ塊が、ゴロゴロ。


「また、あなたですか?」
「もう、しょうがないのですよ」

「何故ジェミニはお前達しか会わないのかがこっちは疑問だわ」

ジェミニ…そう、双子、双子の子。
くすんだ薄紫の髪は、空の禍々とした紫の空に比べれば、淡く映える。

この世界では、人工的に生み出されたジェミニが何体かいる。
この二人もそうだった。
ジェミニは歳を取らない、ずっと幼い子供のまま。


「それにしても、相変わらず名前と本人が一致しませんね」
「そうなのです、ヒカルだなんて、カゲルの方がいいのではないのですか?」
「喧嘩売ってるならそいつらと同じにしてやるわよ?」

少女はヒカル、赤い髪のツインテール。
基本彼女は殺人者。
暗殺は好みじゃなく、堂々と大衆の前で殺す事がよくある。
かといって、人ごみは大嫌い。
静かな場所にいれば、煩いハエが寄ってくる、だから、叩き潰す。
人が見ていようと、お構いなし、ついでにそいつも殺す事もある。

だからジェミニはいつも、ついてくるのと同じで、後を追う。
仕事だからだ。

ジェミニの仕事は墓人、そうよばれる職業。
魂だけを棺桶に集め、溜まったら、泉に沈める。
沈めた魂は浄化され、再び何かに生まれ変わる。

だからジェミニはついてくる、魂を拾うために。
ちなみに、このジェミニは魂回収後、ちゃんと埋葬する。
埋葬というより、火葬。
煉獄で全てを焼き尽くす、肉も、骨も、記憶も。

少女のジェミニが魂を回収して、少年のジェミニが焼き尽くす。


ヒカルが溜息を吐く。
無表情で、ジェミニは首を傾げる。

「邪魔だから、さっさと消して」
「「ラジャー」」

無表情で敬礼、何とも言えない。


「ヒカルも罪な人ですね~」
「その顔で人殺し、寄りたくても近寄りがたいですよ~」

ジェミニが喋りかけてくる。

「黙って仕事しろ…」

ただいま作業中。



ヒカルは歩き出す。
ジェミニがついてくる。

「いや、ついてこないでよ…」
「だって、すぐ仕事できるし」
「そうなのです、めんどくさいのですよ」

ヒカルは思いっきり睨みつけた!
しかし、ジェミニには微塵も効かなかった…。


「執事にメイド、鬱陶しい」
「気にしないでください」
「ですです」

…。


何だかんだで、この奇妙な三人はいつもと同じく歩いていく。




「ほら、正解ですよ?」
「また、お仕事なのです」
「………」

やっぱり、また塊が、ゴロゴロ。

もう、どれだけ生ぬるいものを浴びてきたのだろう。
ヒカルには、どうでもいいこと。


「邪魔、片付けて」
「「ラジャー」」

何だかんだで、役に立つジェミニ。
証拠隠滅というわけでなく、ただ、醜いから、処分して欲しい。
ただ、それだけ。

ジェミニは、何だかんだで楽しんでいる。
この、何とも言えない少女の事を。


傍から見れば、主人と使用人、旅しているように見える。
ヒカルは普通の冒険家の服で、ジェミニは執事とメイドの格好。
一瞬見ただけだと、誰も気付かない。

大量殺人者と、墓人だとは。



今日も何処かで、塊が、ゴロゴロ。

ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ。

淡い光が漂って、棺桶に閉じ込められて。

外見は炎でさようなら。


少女とジェミニの不思議な連携作業。

だから、殺人者がすぐ傍に居ても、誰も気付かない。

気付いた頃には、さようなら。

出会った事に、後悔して。

全てを奪われさようなら。


回収してもらえれば、まだいい。

回収してもらえなければ、二度と生まれ変わる事は無い。

上空を漂い、嘆き、苦しみ、やがて、さようなら。


本当に、さようなら。




「はぁ…早く片付けて」
「「ラジャー」」


この声が聞こえたら、少しは安心してもいいのでは?




‐‐‐Fin‐‐‐

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